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博士就活ケーススタディ(1)

博士の就活の実際の姿を紹介するスキャンダラス企画「博士就活ケーススタディ」第1弾です!

今回事例を提供してくださるのは理学研究科 化学専攻 D3の石川奨くんです。
来年から念願の製薬企業で研究開発で働くことが決まっています。
製薬は化学の花や!石川くん、就職おめでとう!

youtubeに取材の概要をまとめた動画をアップしています。まずはそちらを御覧ください。

 

 

この記事では事例の詳細について根掘り葉掘りしていきます。

 
 
就活にちょっと出遅れる

石川くんはもともと製薬業界への就職を強く希望しており、就活の基本的な方針は概ね決まっていました。しかし、研究に熱を入れていたため、就職活動に関して情報を集めたり情報を分析して戦略を立てたりすることについては、ちょっと怠っていたようです。その結果、就活に出遅れてしまいます。

実は、製薬業界は特に就職活動が早期化している業界です。博士の場合、早い企業であればD2の6月頃には採用活動をスタートさせており、D2の夏頃にはエントリーの受付がはじまるというのが相場のようです。そんな中で、石川くんが就活を始めたのはD2の9月頃。これは一般的に言えばごくごく普通のタイミングです。しかし、「一般」があってないようなものなのが博士の就活。石川くんのように製薬業界を希望するのであれば、もっと早く動きべきでした。さらに言えば、もっと早くに自分が希望する業界の採用活動スケジュールについて調べるべきでした。

「研究熱心ゆえに、皮肉にも研究と就活の両立が難しくなってしまう」というのは理学研究科の学生の「あるある」です。この点だけみると「研究に熱心すぎるのも困ったものだ・・・」と思う人もいるかも知れません。しかし、博士の最大の武器は研究の中で培った専門性と研究の実践力であり、この武器は研究に熱心に取り組むことでこそ手に入るものです。このあたりのバランスは難しいところですが、石川くんの場合は最終的には化学に関する専門性と研究実践力が評価されたことで就職先が決まりました。

 

ジョブフェアをきっかけに本格スタート

出遅れがあったとはいえ、石川くんのその後のリカバリーは非常に良いものでした。研究室の先輩が残した就活に関する資料を紐解き、例年11月に開催されるジョブフェア(2020は開催済み)に参加しました。ここから就活に関する視野が広がっていきます。

ジョブフェアはいわゆる合同企業説明会の1つですが、いくつか重要な特徴があります。まず、参加者は博士に限定されています。それゆえここに集う企業は全て「博士を採用したい!」と考えてくださっている企業です。次に、博士の学生が自分の研究をプレゼンする場が設けられています。通常の合同企業説明会は企業が一方的に説明するタイプが多いのですが、ジョブフェアは学生・企業の双方向性が担保されています。だからこそ自分にあった企業、自社にあった博士を見つける機会が充実しています。

石川くんの場合はジョブフェアに参加したことで就活の雰囲気を肌で感じ、就活に対する本気度が高まったそうです。これは非常に良いことです。独りで就活するのはしんどいですからね・・・。

また、企業の方に自分の研究や強みを伝えることの難しさも感じたととも言っていました。そしてこの問題は石川くんを長く悩ませることになりました。

 

面接がうまく行かない 汗

石川くんは別に口下手ということはないのですが、自分の長所や強みを自分から積極的に主張することに対する抵抗感が強い性格でした。そんな人柄もあってか、なかなか面接をパスできずにいました。

その後、指導教員の薦めで理学研究科のキャリア支援室に相談に来てくれました。重ねていいますが、こうやって大学などのサービスをきちんと利用してくれたことは非常に良かったと思います。就活は独りでやるには大変すぎます。博士の就活は形がないので特に大変です。悩んだら即相談。これは非常に大事なことです。

 

キャリア支援室からのアドバイス

石川くんに対するアドバイスのポイントは2つにまとめられます。

1つめは自分の強み(≠研究の意義)を明確化すること。どうも石川くんは研究の意義をアピールすれば、それがそのまま自分の強みをアピールすることにつながると考えているようでした。しかし、企業は石川くんの研究を買い上げるわけではなくて、石川くんという人材を採用するわけです。研究の意義や魅力をアピールするのは当然ですが、それにプラスして自分の人材としての価値をアピールする必要があります。

2つめは博士目線で企業研究すること。企業研究は企業の特徴について調べることで、世間では企業理念、設立年度、資本金、本社・事業所の所在地、事業内容、採用情報が調べるべきポイントとして挙げられています。これらの項目は文系・学部あたりの就活では妥当だと思いますが、博士、特に企業で研究開発に取り組みたいと考えている博士の場合には、こんなことを調べて満足していてはダメです。相手企業がどのような顧客にどのような価値を届けるためにどのような事業を行っているのかを理解するのは大前提。そのうえでその事業の価値を高めるために企業がどのような研究に力を入れているのかくらいは調べておく必要があります。これがわかれば、自分の強みが一般論としではなく、「その企業にとって」自分がどのような価値を持っているのかをアピールする切り口が見えてくるからです。

 

粘り強く就活に取り組んで内定ゲット

キャリア支援室に相談に来たらすぐに内定ゲットできました!とはいきませんでした。その後も、複数の企業にエントリーし、面接に挑戦していきました。内定をもらったのは最初の相談から3ヶ月後あたりだったと思います。

わたしが非常に感心したのは、石川くんは面接に関するふりかえりをきちんと行っていたことです。面接に正解はないのですが、それでもいわゆる手応えとか相手の反応といったフィードバックをしっかりと認識することで、自分のコミュニケーションスキルを向上させていくことができます。こういった地道な努力のはてに、ついに自分の希望する業界・職種に就職することが叶いました。また、この過程で身につけたコミュニケーション能力は社会に出てからも役に立つと思います。

 

石川くんからの後輩へのアドバイス(youtubeも見てね!!)

○D2の夏には情報収集スタートしましょう。(補足:特に製薬業界を希望する学生は早め早めに情報を集めること。それ以外の学生も自分が希望する業界の採用動向くらいは早めにしっておくこと。)
○D2の秋には自己分析。自己分析には十分に時間をかけましょう。このタイミングで面接とかに臨んで行く。
○就活を独立でやると苦労します。キャリア支援室やILPを使った方が良いでしょう。これによって情報を効率的に集める、視野を広く持つ、客観視する(特に自己アピール)といったメリットが得られます。

youtube → https://youtu.be/pACyLRf40VQ

 

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