就活のヒント

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Vol. 5 スケジュールその4 求人への応募時期

Vol. 2 スケジュールその1 スタンダード編」で、「D2の夏頃から求人への応募を本格スタートさせるのがおすすめだよ」という図を示しましたが、もちろん本格スタートの時期についても前倒し・後ろ倒しは当然アリです。

 

一例として言えば、製薬業界は博士の採用活動を始める時期が少し早いことが多いようですので、製薬業界にエントリーするなら本格スタートは前倒ししたほうが良いでしょう。逆に、企業の中央研究所のようなアカデミックに近い求人では、意外とD3の秋・冬あたりに求人が出たりすることもあるようです(毎年ではないけど)。このように博士の就活というのは形があって無いようなものなので、いつごろから就活を本格スタートさせるべきかについても自分で考える必要があります。よーいどん!で始まる学部・修士の就活とはわけが違います。

 

「自分で考えなさい」というのは簡単ですが、学生当人して見れば特に就活の開始時期を後ろ倒しするのには勇気がいりますよね。そこでこの記事では、就活開始時期を後ろ倒しした2つの事例を紹介しようと思います。

 

事例1 博士課程から1年間の契約社員を経て正社員に

この事例は、ILPの増沢先生が書かれた『理系のためのキャリアデザイン 戦略的就活術』という書籍からの引用です(pp. 60-1)。(いい本なので是非とも買ってください!わたしは布教用も含めて3冊買いました!)ここでは化学系の学生がD3の秋まで研究に集中し、博士論文の提出の目処がたってから就活をスタートさせる事例が紹介されています。地味な性格でアピールは苦手な学生さんだったようですが、研究にだけはしっかりと取り組んできた自信があり、技術面接では企業の方と大いに話がはずんだそうです。結局、面接で評価を受けて採用が決まりつつありましたが、大手メーカーの採用スケジュールの都合で終了直後4月の採用は難しいということになりました。その際に企業から1年間契約社員として働き、その後正社員転換するという道を提案され、学生さんはこの提案を受け入れます。就職直後は新米社員として雑用から下働きまで積極的に行い、そういう姿勢も評価されたのもあり、1年後をまたずに数カ月後には晴れて正社員になったとのことです。この事例について、著者の増沢先生は「企業には優秀な人材は逃したくないという本音があり、契約社員でも良い評価を得られれば正社員転換はそれほど珍しいことではない。(略)表面的な待遇や条件だけで判断せず、こうした真のキャリアプランを組み立てられるインテリジェンスが欠かせない。」(p.61)と評価しています。

 

事例2 紆余曲折を経て企業の研究者に

この事例は本研究科のOB/OGの事例です。数学専攻の学生さんで、やはり研究に集中していたこともあって、就職活動の本格スタートはD3の春からになりました。数学は純粋な頭脳勝負のようなところがあり、コツコツ研究したからといってそれが成果に直結するわけではないという難しさ・厳しさがあります。だからこそ研究に一意専心に取り組む必要があるわけで、この学生さんも研究と就活の両立には苦労していたようです。そうした中でも企業へのエントリーを続けたり、専攻にたまに訪れるリクルーターの方と積極的に面談したりしていたとのことです。こうした努力が実を結んだのか、自分と同じ数学専攻卒のリクルーターに出会い、その出会いがきっかけとなって某大企業の中央研究所の研究職に採用されることが決まりました。博士課程の修了はD4の9月となりましたが、その年の10月から企業でバリバリ研究しています。

 

2つの事例を通して学生さんに伝えたいことは「D2の夏に就活を始められなかったからといって、パニックに陥る必要はない」ということです。きちんと研究に取り組み、しっかりとした実力を身につけることがいちばん大事なことです。研究は博士の就活の基礎ですから。その基礎さえあれば、多少出遅れたとしても就職活動を乗り切ることは決して不可能ではありません。

 

 

もちろん他の人より出遅れて就活すれば、それなりの苦労や不安を抱えることになるでしょう。しかし、このような苦労や不安については、相談さえしてくれれば、キャリア支援室がその一部を引き受けることができます。また、就職の成功を保証することはできませんが、成功を目指して一緒に努力することは約束できます。博士の就活は、本人の意志と能力によって、いくらでも自分でチャンスを作り出せます。これが学部や修士の就活との一番の違いかもしれません。焦らずに研究と就活にきちんと取り組んでいきましょう。

 

平静を保ち、普段の生活を続けよ
キャリア支援室 公式キャッチフレーズ(嘘)

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